あなたへ
あなたが流した、一粒の涙を忘れられません。
それは、あなたの容態が急変し、間も無くの事でした。
あの時のあなたは、話をする事も、その瞳に私達が映る事もなかったけれど、
あの日、あなたは、一粒の涙をこぼしました。
生きたい
その涙は、あなたの「声」となり、私のところまで、届きました。
体調を崩し、時々、後ろ向きなあなただったけれど、
あの一粒の涙に、あなたの本当の気持ちが見えました。
あなたの手を握りながら、
あなたの為に、何もできない事が、もどかしかった。
私の寿命を、あなたに半分、分けてあげる事ができたのなら、
喜んで、そうしたでしょう。
健康で、毎日を過ごす事。
それは、当たり前の事なんかじゃなくて、毎日が奇跡なのかも知れませんね。
日々の忙しさに、時々、疲れてしまうけれど、
そんな時、精一杯、生きた、あなたの姿を思い出します。
あの時のあなたの為に、今の私は、何が出来るでしょうか。
一粒の涙を思い出しては、時々、そんな事を考えます。