拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ -秋- 2025

秋の色を覚えていますか

秋の音を覚えていますか

秋の風を覚えていますか

 

その瞳に映った景色

その耳で感じた季節

その肌で感じた温度を

覚えていますか

 

秋の季節に私が作ったお菓子の味を

あなたの隣で笑っていたあの子の笑顔を

あなたは覚えていますか

 

毎年の秋の季節には

さつまいもや栗が

たくさん届く我が家だったけれど

 

蒸したさつまいもも茹でた栗も

我が家ではあまり人気がなくて

 

それならお菓子にしてみようと

こんなふうに思い立ったのは

私たちが家族となってから

何番目の秋のことだっただろう

 

スイートポテト

パウンドケーキ

クッキー

パイ

 

あんなにも減らなかった筈の秋の味覚たちを

お菓子にすれば

あなたとあの子は喜んで食べてくれました

 

秋はキッチンに立つ時間が格段に増える時期

 

いつの頃からか私にとっての秋とは

お菓子作りの季節となりましたが

 

時にはあの子と一緒にキッチンに立ちながら

気が付けば少しずつ子育ても楽になって

 

自分の好きなことを

あの子と一緒に楽しめるようにもなったのだと

静かにあの子の成長を感じた瞬間がありました

 

ただいま

あ!お菓子がある!食べていいの?

 

テーブルにお菓子を見つければ

あなたはいつでも嬉しそうな顔を見せてくれたこと

私は今でもよく覚えています

 

もうすぐご飯だから少しだけね

 

キッチンから2人に声を掛けながら

お菓子を食べる2人の姿を見つめるのが

秋の私の楽しみのひとつでもありました

 

今日のお菓子は僕も一緒に作ったんだよ

 

本当?凄いね

 

美味しいね

 

美味しいね

 

あの子と一緒に笑い合いながら

嬉しそうにお菓子を頬張るあなたを見つめながら

ただただ幸せを感じていたあの頃の私は

あなたに何を伝えることが出来たでしょうか

 

 

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