神様、お願いします。
どうか、彼に逢わせて下さい。
ほんの少しだけでいいのです。
ほんの少しだけ・・・
私は時々、空を見上げては、
叶わぬ願いと知りながらも、こうして、願いを口にしてみる。
もう一度だけ、彼に逢いたい と。
そうして、
たくさんの大粒の涙を流した後は、
いつの頃からか、こんな自分を冷笑するようになった。
神様?
そんなもの、いないんだよ、きっと。
もしも、神様がいるのなら、
彼をここから連れ去ってしまうようなことはしないもの。
目に見えないものを肯定しながら否定する。
いつの頃からか、私は、そんな矛盾を抱えるようにった。
大切な人が、この世からいなくなってしまうこと。
突然に、辛い現実と向き合わなければならなくなってしまった私は、
行き場のない悲しみを閉じ込めるかのように、冷たい涙を流す。