今年もまた夏が来たよ
照りつける太陽に目を細めながら
空の彼方へ 夏が来たことを知らせてみる
今年の梅雨明けは 例年よりも遅かったらしいよ
気が付いたら7月が終わっててさ
もう8月だって
待ちわびた夏の音を聞きながら目を閉じると
彼と出会った最初の夏から順番に
夏の記憶を呼び起こした
初めて出会った夏
2番目の夏
そして
3番目の夏
あの夏の私は
生まれて初めて 正夢というものを見た
そこには彼がいて
私は彼の膝の上に座っているんだ
夢の中の季節も夏だったけれど
少し肌寒い気温だった
寒い?
うん 寒い
じゃぁ 車に戻ろうか
そんな短い会話をする夢を見た数日後
私はそれを現実に体験することとなった
あれは
夏にしては 少し肌寒い夜のことだった
ねぇ知ってた?
好きな人の正夢を見たらね
来世でも またその人と結ばれるんだよ
なんて言ったら
きっと彼は笑うのだろう
そんなの聞いたことないよ って
あっ
バレた?
これは今 私が作った言い伝え
それでも
これまで生きてきた中で
たった一度だけの あの不思議な体験は
私にとって
彼が特別であることを意味しているように感じてしまうんだ
きっと私たちは
何か特別なもので繋がっているに違いないと
夏の音を聞きながら思い出していた
彼と出会って3番目の夏は
少し肌寒い夏の夜に感じた
彼の温度だった
あの頃の私は
夢の中でも
現実でも
彼に包まれていたんだ
夏の音を聞きながら
ふと目を開けると
3番目の夏の
彼の声が聞こえた気がした