あなたへ
最後にあなたの夢を見たのは、いつだっただろう。
夢の中で、久しくあなたとの時間を過ごせていないことに気が付いて、
寂しさを感じたのは、先日のことでした。
あなたの夢を見ていないと言うよりは、
なんの夢も見ていないと言った方が正しいのかも知れません。
いつも様々な夢を見るはずの私ですが、ここ最近は、
夢を見た記憶が全くないのです。
本当は毎日、夢を見ているけれど、
覚えていないだけだという話を聞いたことがあります。
もしかしたら、
目を覚ました私が覚えてはいない時間の中に、
あなたとの時間もあったのかも知れません。
ねぇ、あなたが最後に私に逢いに来てくれたのは、いつですか。
もしも、目を覚ました私の記憶に残ってはいない時間の中に、
あなたとの時間が存在していたとするのなら、
そこにいたあなたは、どんなあなただったのだろう。
ねぇ、あなた。逢いたいな。
もし出来れば、目が覚めても、覚えている夢の中で逢いたい。
なんて、もしもこんな我儘を言ったとしたのなら、
あなたはどんな顔で笑うのでしょうか。
どんなに前を向いて歩んでいても、
あなたを想って泣くことを辞めても、
不思議な出来事の数々の中に、あなたの存在を感じることが出来ても、
時々には、あの頃みたいに、
あなたのすぐ側に寄り添ってみたくなってしまうよ。
だって、夢の中のあなたの声は、
あの頃みたいに、ちゃんと聞こえるもの。
その手の温もりも、
あの頃みたいに、ちゃんと感じることが出来るもの。
肉体を持つ私と、肉体を持たないあなた。
現実世界では、存在する場所が違うけれど、
同じ場所に、同じ形で存在することが出来る夢の中は、
今の私にとって、特別で、大切な場所だと感じています。
ねぇ、あなた。
もしも今、ひとつだけ我儘を聞いてくれるとしたのなら、
とてもあなたに逢いたいです。