拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

聞き覚えのある音から蘇った記憶

あなたへ

 

何気なくつけたテレビから聞こえたのは、

聞き覚えのある音でした。

 

思わずテレビに視線を向ければ、私の目に飛び込んで来たのは、

とあるゲームアプリの画面でした。

 

このゲーム、知ってる

 

小さく呟きながら、

聞き覚えのある音に耳を澄ませば、

私の中へと蘇ったのは、あの頃の時間でした。

 

家族3人で携帯電話をiPhoneへと買い替えたあの頃、

あなたとあの子が夢中になっていたのは、パズル形式のゲーム。

ゲームに夢中になる2人の側で、

洗濯物を畳むことは、あの頃の私にとっての日常でした。

 

このゲームアプリ入れてみたら?

楽しいよ

 

ゲームを楽しむ2人を見つめる私に、

こんなふうに勧めてくれたのは、あなたでしたね。

 

あの子が眠った後、テレビを観て寛ぐあなたの側で、

ゲームをするという夜が生まれたのは、あれからのことでした。

 

ひとつゲームをクリアすれば、ひとつ難易度が上がる。

こんな形式のゲームのクリアが難しくなるまでに、

そう時間が掛からなかったのは、

私がゲームをあまりの得意とはしなかったからなのでしょう。

 

ですが私には、あなたという秘密兵器があるのです。

 

何度挑戦してみても上手くいかない時には、

え?これ、出来ない!

どうすれば良いの?って、

こんなふうに隣にいるあなたへ声を掛ければ、

いとも簡単にクリア出来てしまうではありませんか。

 

これはね、こんなふうにすればクリア出来るんだよって、

私が躓けば、あなたは必ず説明しながら、やって見せてくれて。

 

あぁ、なるほどねって、

その時には理解出来たつもりでいたけれど、

よく考えてみたら、ゲームをクリアする度に、

どんどん難易度が上がってしまうから、

尚更に、私にはクリア出来ないものへと変わって行き、

やがて、家族3人の中で、

私だけがあのゲームライフを終了するという結末を迎えたのでした。

 

不意にテレビから聞こえた音に耳を澄ませながら、

蘇った記憶を辿れば、なんだか笑いが込み上げて来て。

 

ねぇ、あなた

よく考えてみたら、このゲームって、どんどん難しくなるよね?

私にはもうクリア出来ないレベルまで上がっちゃったよね?

 

不意に気が付いたこんな私の声に、

え?あ、そ、そうだよねって、

笑っていたあなたの隣で、大袈裟に悔しがって見せたあの頃の私は、

本当はね、ゲームをクリアすることが出来なくても、

とても楽しかったよ。

 

あの頃の私は、あなたとのあんなやり取りが、

ただただ、楽しかったんだ。

 

 

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