拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子が置いて行ったもの

あなたへ

 

これは忘れ物?

 

あの子へのこんなメッセージを送ったのは、

今回帰省したあの子を駅まで送り届けて、帰宅してからのことでした。

 

何気なくあの子の部屋のテーブルの上を見ると、

小さな何かが置いてあるのを見つけたのです。

 

それは、細くて、短いリボン状になった何か。

そう。例えば、細いコードなんかを纏める時に使いそうなもの、

と言えば、あなたにも伝わるでしょうか。

 

早速、写真を撮って、あの子へメッセージを送れば、

それはゴミですって、こんなメッセージが返って来て。

 

忘れ物ではなかったことに安堵した私は、

翌日から始まる自分の日常生活に視点を置いたのでした。

 

再び早い流れに乗って歩み始めた私が、

あの子の部屋に置き去りだったゴミの存在を思い出したのは、

日常生活へと戻ってから、数日が経ってからのことでした。

 

そうだ。あの子の部屋のゴミを捨てなきゃって、あの子の部屋へ入れば、

つい数日前までの此処に流れていた非日常となった時間が、

私の中へと鮮明に蘇って。

 

あの子がゴミだと言ったそれを手に取ってみれば、

私の中に見つけたのは、愛おしい、という気持ちでした。

 

我が子の巣立ちを間近に控えた頃や巣立ちの日。

そして、我が子の巣立ちから、1週間、1か月、1年間。

 

これまでの私は、様々な初めて知る気持ちを見つけて来ましたが、

巣立った我が子が置いて行ったゴミ

それは、親にとっての愛おしいものであるのだと、

初めてこんな視点を見つけて、なんだか笑ってしまいました。

 

またひとつ、子育てに奮闘していたあの頃の私たちには、

想像もつかなかった気持ちを見つけることが出来ましたよ。

 

え?愛おしいゴミを捨てるのを辞めたのかって? 

 

いえ。ちゃんと捨てましたよ。

 

でもね、一瞬、捨てようかどうしようかと、迷ったあの時間も、

なんだか笑ってしまう良い時間でした。

 

こうして振り返ってみれば、

あの日のあの子が置いて行ったのは、ゴミではなく、

新たな視点からの愛おしさだったのかも知れませんね。

 

 

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