拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

私が戦う相手

あなたへ

 

あなたがいないこの世界を生きることは、私に課せられた試練であるのだと、

こんなふうに考えたのは、

あなたを見送ってから、どれくらいが経ってからの頃だっただろう。

 

あの頃の私は、自分にとっての前が、何処であるのかも分からないままに、

それでもいつか、今の私が抱える悲しみや苦しさ、悔しさは、

鎧となり、剣となるのかも知れないと、こんなふうに考えてみたのでした。

 

私はこれから、鎧を身に纏い、剣を構えて前へと歩む自分になるのだと、

自分を奮い立たせて、戦闘体制に入る準備を整えるかのように、

しっかりと前を見据えて。

 

あれはまだ、あなたの年齢に並ぶ前の私でした。

 

あれから先で私が見つけた鎧は、

涙を隠すことの出来るファンデーションであり、

そして、私にとっての剣とは、

前髪を切るための鋏だったのかも知れないと、

今日の私は、前髪を切りながら、ふと、こんなことを考えていました。

 

あなたがいない世界を生きなければならなくなった私は、

この世界で、あの子を守りながら、様々に戦って行かなければならないのだと、

外からやって来る何者かとの戦いを思い描いていたのかも知れません。

 

確かに、人生の中には、思いもしなかった出来事が訪れて、

それを乗り越えなければならない場面も多く存在します。

ですが、突然に外側からやって来たそれらであっても、

しっかりと向き合い続けてみれば、

最終的に向き合う先は、常に自分自身であったような気がしています。

 

こうして振り返ってみると、

お気に入りのファンデーションで戦闘体制を整えて、

しっかりと前を見据えられるようにと、

自分で前髪を切り揃えながら歩んで来た私は、

外側にいる何者かと戦い続けたことは、一度もなかったのかも知れません。

 

あなたを見送り、

自分にとっての前がどこであるかも分からないままだったあの頃の私は、

少しずつ成長し続けて、向き合う先が分かるようになって、

それに相応しい鎧も剣も手に入れて歩んで来ていたのだと、

今日は、改めて自分の成長を見つめる日となりました。

 

今日の私は、伸び過ぎた前髪を切り揃え、

しっかりと前を見渡せるようになりました。

 

私は、また明日から、お気に入りのファンデーションで自分を整えて、

自分自身としっかりと向き合いながら、歩んで行くのでしょう。

 

 

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