拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたみたいな大人

あなたへ

 

このペンケース、可愛いね

 

これは、このゴールデンウィークに帰省していたあの子の、

ペンケースを見つけた私の声です。

 

うん、可愛いでしょ?

 

こんな言葉と共に、あの日のあの子は、

仕事へ行く時には、必ず持って行くものなのだと話してくれました。

 

誰かのペンケースって、どうして、中身を見たくなってしまうのでしょうか。

思えば、子供の頃には、

友達と、ペンケースの中身を見せ合うという場面が多くありました。

 

あの子のペンケースを見つけたあの日の私の中へと蘇ったのは、

あの、誰かのペンケースの中身を見る時に感じる、

ワクワクとした気持ちだったのです。

 

ペンケースの中身、見てもいい?

 

こんな私の言葉に、何も面白いものはないよとあの子は笑いながらも、

ペンケースの中を見せてくれたのでした。

 

あの子のペンケースの中身は、黒と赤のボールペン。

それから、マーカー。

そして、三角スケール。

 

こんなシンプルな内容でしたが、

私が僅かに息を飲んだのは、

それが、私には見覚えのあるセット内容だったからでした。

 

ねぇ、あなたはきっと、

この組み合わせをよく覚えているでしょう?

だって、あなたが持ち歩いていた文具と、全く同じだもの。

 

そう。あの、オレンジ色のバッグの中にも、

確かにこのセットが入っていました。

 

仕事では、黒と赤のボールペンしか使わないんだよね

 

いつかのあなたと同じ言葉に頷きながら、

ペンケースの中に、あなたが見ていた景色と同じ景色を詰め込んで、

自分の道をしっかりと歩むあの子が、

自分の将来を見据えたあの日のことを思い出していました。

 

あなたみたいな大人になりたい。

 

こんなふうに、自分の将来をしっかりと見据えたあの子は、

あれから真っ直ぐに、真っ直ぐに歩み続けて、

やがて此処から巣立ち、立派な社会人になって、

あなたみたいな大人になったんだなって。

 

自分の歩みたい道を見つけたばかりだったあの頃のあの子は、

少しずつ時間を掛けて、少しずつ、更に具体的に、

将来の夢や目標を描くようになりました。

 

そんなあの子にとっての今は、夢を叶える途中。

 

しっかりと前を向き、相変わらずに前のめりに歩むあの子は、

既に、あなたみたいな大人になれたことには、

きっとまだ気が付いてはいないのでしょう。

 

きっとね、あの子はあの子の納得できる自分になれた時に、

漸く後ろを振り返り、

とっくにあなたみたいな大人になれたことに気が付くのよ。

 

ねぇ、あなた。

その時のあの子は、どんな顔で笑うのでしょうか。

 

 

www.emiblog8.com

 

www.emiblog8.com

 

www.emiblog8.com

 

 

1ページ目はこちらより↓↓

拝啓、空の彼方のあなたへ - 拝啓、空の彼方のあなたへ