あなたへ
幼かった頃の私の夢は、魔法使いになることでした。
物置きに立て掛けてあった箒に、こっそり跨って、飛ぶ練習もしたし、
本物の魔法のステッキを手に入れた時のために、
ステッキを振る練習もしました。
両腕を早く動かせば、箒に乗らなくとも飛べるかも知れないと、
こんなふうに思いついたのは、いつの頃のことだっただろう。
箒に乗って飛ぶよりも、その方が便利なのかも知れないと考えた私は、
両腕を早く動かして、飛ぶ練習もしていました。
夢の中の私は、自由に飛べたもの。
きっといつか、飛べるようになる筈だからって。
私はいつから、
飛ぶ練習も、ステッキを使う練習も、しなくなってしまったのだろう。
あれから少しずつ、成長して行った私は、やがて人は飛べないことを知り、
この世界には、魔法のステッキが存在していないことを知りました。
いつしか、魔法使いになりたかった自分のことなど、
すっかり忘れてしまった私は、代わりに、
別なことを信じるようになって行きました。
現実的に目に見えるものだけが、きっと全てなのだと。
こうして振り返ってみれば、あの頃の私は、
大人になる準備を始めていたのかも知れません。
やがて大人になった私は、
あなたと家族になって、あの子のお母さんになりました。
ママの手はね、魔法の手だから、大丈夫だよ
ママが治してあげる
幼かったあの子が転んで、体のどこかを痛がれば、
私はあの子の体を摩りながら、こんなふうに声を掛けていました。
ママの魔法で治して!
いつの頃からか、あの子は、転んで身体の何処かが痛くなる度に、
こんな言葉と共に、私の元へと駆け寄って来るようにもなっていて。
幼かったあの子と向き合っていた頃の私は、それに対して、
深く考えることはなかったけれど、
私は、あの子に本物の魔法使いにして貰っていたのかも知れないと、
こんなふうに、あの子が幼かった頃を振り返った日がありました。
幼かったあの子が、少しずつ成長し、やがて、あの夏を迎えました。
此処から居なくなってしまったあなたは、
言葉には力があることを私に気付かせ、
やがて私は、素敵な人生を過ごすために、
様々な魔法の呪文のような言葉を見つけて行くようにもなりました。
どんなに頑張っても、空を飛ぶことは出来なかったし、
魔法のステッキを手に入れることも出来なかったけれど、
やはり私は、いつの間にか、魔法使いになれていたのかも知れないと、
こんな視点から、自分自身を見つめてみたのは、
冬の季節を、
これまでとは違った視点から見つめられるようになったことに気が付いた、
先日のことでした。
子供の頃は、魔法使いになりたかった。
あなたにも、そして、あの子にも、特にこんな話をしたことはなかったけれど、
家族ってさ、それを知らないままであったとしても、
幼い頃に持っていた夢を叶えてくれる存在でもあるのかも知れませんね。
此処からの私は、どんな魔法を取得して行くこと出来るのだろう。
素敵な魔法使いになるためにも、私は此処から先も、
成長し続ける努力をしていたいなって、今日の私は、こんな視点から、
此処から先を見つめていました。
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