拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2022-01-01から1年間の記事一覧

予祝

あなたへ 何故だか朝から鼻血が出てしまったのは、先日の私です。 突然の出血に笑いながら、 ふと、思い出したのは、私が子供の頃のことでした。 遠足や旅行。 楽しみなことがある前日の夜になると、何故か必ず、鼻血が出ていた私。 いつの間にその症状が出…

目が覚める数秒前

あなたへ もう あなたったら おはようのいつもの挨拶の代わりに、 朝から呟いた私の声を、 あなたはどんな顔で聞いていたのでしょうか。 思わず照れて、あなたの顔を見ることが出来ないままに、 朝から何度も反芻してしまったのは、夢の中でのことでした。 …

夏の匂いを嗅ぎながら

あなたへ 夏の匂いを嗅ぎながら、 あの夏の中にいた私を思い出していました。 あの夏の、 纏わり付くような温度を知らないあなたと過ごした時間。 きっと間もなく、一緒に家に帰れると、そう信じて、 何も疑わずに見つめたベッドの上のあなたの笑顔。 私は、…

七夕の願いごと -2022-

あなたへ 今夜のあなたは、どんなことを想っていましたか。 私は、あなたと過ごした幾つもの七夕の日を思い出していました。 2人で過ごした七夕の日のあなたの笑顔と声。 一緒に見た景色。 家族3人で過ごした幾つもの七夕の日。 目を閉じて、ゆっくりと、記…

あの子の筋肉のために私が出来ること

あなたへ えー!なんで? 体重が減っちゃったよ!! こんなあの子の声が出て聞こえたのは、先日のことでした。 私からすれば、それはとても羨ましい限りの現象ですが、 この夏へ向けて、自分の目標とする体型の完成を目指して、 日々の筋トレに励んでいたあ…

梅雨明けに思い出した声

あなたへ もうすぐ、梅雨明けするみたいだよ あと2、3日かな え?もうですか?今年は早いですね これは、私が昨年まで勤めていた職場での雑談です。 他県の事務所に所属する彼からの入電があるのは、月に数回。 彼とは一度もお会いしたことはありませんでし…

目に見えないもの

あなたへ あなたを見送ってからの私にとっての時間は、 あなたの本当の居場所を知るために、 目には見えないあなたの姿を懸命に、 追いかけてきたような時間でもあったように感じています。 何処を探してみても、 この瞳に明確に映ることのなくなったあなた…

宝物だけが詰まった1日

あなたへ あの子も私も、とても疲れていたのかも知れません。 思いっきり寝坊をしてしまったのは、先日の私たちです。 時計を確認して、2人で驚きながらも、 寝坊しちゃったね なんて、あの子と笑った後は、 2人でコーヒーを飲みながら、お喋りに花を咲かせ…

珍しい生き物

あなたへ 炭酸飲料を飲んでも、普通はしゃっくりをしないのだと、 そう気が付いたのは、あなたと結婚してから、 どれくらいが経った頃だったでしょうか。 炭酸飲料を飲むと、必ずしゃっくりが出ることが普通であった私にとって、 それは衝撃的な発見でした。…

あの子が描く絵の中で

あなたへ 先日、久し振りにあの子が描いた絵を見る機会がありました。 あれ? 絵の雰囲気が少し変わったな あの子の絵を見つめながら、私がそこに感じたのは、 あなたによく似た感性でした。 学校では、絵に関する学びの時間を終えて、 それに伴い、あの子の…

ひとりの時間を過ごす難しさ

あなたへ いつかのあなたが連れて行ってくれたあの場所の続きで、 ひとりの時間を過ごす難しさを感じたのは、 一面に広がる菜の花色の景色を見つけてから、少しの時間が経ってからのことでした。 結構な距離を歩かなければ行くことの出来ないあの場所へは、 …

あの子の正しい起こし方

あなたへ 成人式を迎え、20歳の誕生日を迎えたあの子は、 成人男性という括りの中へ仲間入りしましたが、 相変わらず朝がとても苦手で、なかなか起きることが出来ません。 此処から巣立った後のあの子は、 ひとりでちゃんとやっていけるのだろうかと、 時…

冒険へ出た先で見つけたもの

あなたへ そっか。 私は、やっぱりこれがやりたいんだ。 一度、手放した夢を改めて見つめながら、自分の気持ちを確認したのは、 新しい環境へと飛び込んでから、どのくらいが経った頃だっただろう。 新たな環境の中で、様々な人や考え方に触れながら、 いつ…

ゴールデンウィーク -2022-

あなたへ 今年のあの子は、オンライン授業を挟みながら、 とても長いゴールデンウィークを過ごしました。 この連休中の我が家に見えたのは、 勉強と筋トレに打ち込んでいたあの子の姿。 時には、 真剣な眼差しで勉強をしていたかと思えば、 次の瞬間には、激…

道標

あなたへ あなたの夢を見ました。 夢の中の私は、何も見えない暗闇の中を、 上手に障害物を避けながら歩いていました。 上手に歩くことが出来ているにも関わらず、 ふと、不安な気持ちになってしまったのは、 僅かな光さえも見えない真っ暗闇の中にいたから…

最も逞しい姿

あなたへ どう?筋肉ついたでしょ? 触ってみてよ これは、ここ最近の我が家で、毎日聞こえるあの子の声です。 何故だか突然に、あの子が本格的な筋トレへと目覚めたのは、1ヶ月と少し前のこと。 これまでのあの子も、鍛えてはいましたが、 今回は、これまで…

ピンク色の次の景色

あなたへ 昨日の私は、初夏を思わせるような心地の良い風を感じながら、 あなたと一緒に歩いてみたかった桜の木が並ぶ土手の上へ散歩に出掛けました。 少し前までピンク色一色に染まっていたあの場所は、 新緑色へと景色を変えて、すっかりと夏を迎える準備…

コトバ -春- 2022

春の風を覚えていますか 春の色を覚えていますか 春の匂いを覚えていますか その髪を揺らす爽やかな空気を その瞳に映る鮮やかさを 鼻を擽る甘い香りを 覚えていますか 一緒に過ごした5番目の春 玄関に並んだ小さな靴 庭先に転がった緑色のボール 見つけたも…

入学式

あなたへ 研究生として、あの子が入学式を迎えたのは、先日のことでした。 こちら側の現状の観点から、保護者はオンラインでの参加となりましたが、 画面の向こう側、 入学式に臨むあの子の姿を見守った時間は、 その成長を感じることが出来た時間でした。 …

あの場所の続きに見つけた春

あなたへ 菜の花の咲く公園。 いつの頃からか、こう呼ぶようになったあの場所に、 菜の花の色を見ることが出来なくなったのは、いつからだっただろう。 あの頃のあなたが見ていたあの場所は、少しずつ形を変えて、 いつかの春を境に、菜の花が咲くことはなく…

桜の木が並んだ土手の上 2022

あなたへ 今年もまた、楽しみにしていた桜の季節がやって来ました。 あなたと一緒に歩きたかった土手の上は今、 淡く優しい春の色に染まっています。 今日の私は、土手の上をゆっくりと散歩しながら、 3年前、初めてこの場所へ訪れた日のことを思い出してい…

新しい季節

あなたへ ここ最近のこちらでは、日中は暖かく、 気が付けば、随分と過ごしやすくなりました。 通勤ルートが変われば、見える景色も様変わり。 通勤途中の信号待ちに、ふと周りを見渡してみれば、 あちこちに見えた色たちが、 既に新しい季節が巡ってきてい…

今の私が見ている景色

あなたへ 今の私は、前職よりも長い勤務時間に、慌ただしさを感じながらも、 一気に変わった景色を楽しみながら、日々を過ごしています。 今の私が身を置いている環境は、とても居心地が良く、 ただ笑っているだけで、毎日が過ぎてしまうような時間。 周りを…

年を重ねる -2022-

あなたへ 今日のこちらでは、冷たい雨が降り、 それはやがて雪へと変わっていきました。 厚い雲に覆われた空を見上げて、あなたの名前を呼んだ私の声は、 あなたのところまで届いたでしょうか。 私はこの世界でまたひとつ、無事に年を重ねることが出来ました…

卒業式と新しいスタート

あなたへ 暫くの間、オンライン授業だって こんなあの子の声が聞こえたのは、 冬休みが明けてから、どのくらいが経った頃だったでしょうか。 冬休み明け早々より始まったオンライン授業期間は延び続けたまま、 気が付けば、自由登校期間へと突入し、 そのま…

あなた以外に埋めることの出来ない空間

あなたへ 不意に襲ってくる空虚さに、こうして向き合うことは、 これで何度目だろう。 あなたに手を合わせて、 遺影の中で微笑むあなたの顔を、じっと見つめたまま、 あなたの声を、温度を思い出していました。 どんなに上手に笑えるようになっても、 決して…

20歳

あなたへ あの子が生まれた日のことを、覚えていますか。 小さかったあの子の温もりを、覚えていますか。 あなたが最後に見た12歳だったあの子は、 あなたの胸の中で、 今、どんなふうに笑っていますか。 今日の私は、あの夏からのあの子の成長を、 ゆっくり…

初めてを捧げる会社

あなたへ 初めてを捧げる会社って、重要だよね これは先日のあの子の言葉です。 本格的な就職活動は、成人式を終えてから。 こう決めていたあの子は、 成人式を過ぎ、間もなくから、本格的に就職活動に取り組み始めました。 連日、様々な企業を調べながら、 …

バレンタイン -2022-

あなたへ 愛しています。 小さく呟いた私の声は、 今年も、あなたのところまで、届いたでしょうか。 今日は、2月14日、バレンタインデーです。 毎年のチョコレート選びの時間は、私にとっての大切な時間。 店内をゆっくりと歩きながら、今年の私も、 あなた…

恵方巻

あなたへ えー?もう!ガッカリだよ! こんな声を上げながら、大袈裟なくらいに項垂れたのは、 先日の、節分の日のあの子です。 始まったばかりの新しい生活に、まだ、時間の流れを上手く掴めていない私は、 あの日、仕事帰りに、節分豆と、恵方巻を買って帰…