拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

手紙

堕ち切った先のあの子

あなたへ 先日、あの子が電話をくれました。 あの子の沈んだ声が聞こえて以来、数週間振りです。 それまではメッセージを通して時々やり取りをしながら、 あの子がまた前を向いて歩んでいることを確認していましたが、 やはり電話である方が、文字よりも更に…

ペアリング

あなたへ それは彼氏とのペアリング? へぇ、翼のデザインか その翼を広げて、彼氏は何処かに飛んで行ってしまうかも知れないね 冗談めかしたこんな先輩の声に、私は笑って答えました。 何言ってるんですか 対の翼があるから飛べるんですよ 飛ぶ時は、2人一…

一旦休憩の日

あなたへ 大きな成長期の中を過ごす私は、日々、新たな視点が見つかることや、 別な自分に会えることを楽しんでいますが、 時々には、脳がパンクするのではないかと、 こんなことを感じてしまう日もありました。 脳内だけが忙しい日々を送るというのも、長期…

私を褒める日

あなたへ 大丈夫。 どんなにあの夏からの記憶を辿ろうとも、 私はもう、泣いたりはしない。 目を閉じて、大きく深呼吸をして、 胸の奥がギュッと掴まれる感触をちゃんと感じたら、 しっかりと目を開けて、 何度でも必ず此処に戻って見せるから。 これは、今…

止まらない成長期

あなたへ 今の私は、人間の成長期にいますと、 こんな手紙を書いたのは、先日のことでしたが、 あれからの私も相変わらずに、脳内だけが忙し過ぎる毎日を送っています。 やがては、この成長期も緩やかなものへと変わり、 一旦の終わりがやって来る日が来るの…

得体の知れない不安な気持ち

あなたへ あの、得たいの知れない不安な気持ちを思い出していました。 あれは、あなたと結婚し、どれくらいが経った頃からだっただろう。 あの頃の私は、あなたが側にいることも、 家族3人で歩む時間がずっと続くことも、当たり前に信じていましたが、 そん…

夜のピクニック

あなたへ 夜のピクニックに出掛けよう こんな遊びを思いついたのは、いつのことだっただろう。 そう。あれは確か、あなたがあの子に、 天体望遠鏡をプレゼントしたことがきっかけで思いついた遊びでした。 庭に出て星の観察をするだけでは飽き足らず、 もっ…

あの子の沈んだ声が聞こえた日

あなたへ あの子が巣立ったばかりの頃は、毎日掛かってきていた電話も、 数日に一度、一週間に一度、数週間に一度と、 少しずつ間が開くようになりました。 今日の俺は病んでるよ あの子からのこんな連絡が入ったのは、 前回の連絡からあまり日が経たないう…

何も考えない時間

あなたへ 朝起きて、窓を開ければ、 部屋の中へと届くのは、身震いするほどの冷たい空気。 気が付けば、金木犀の香りが届く時期も終わりを迎え、 ここ最近のこちらでは、急に寒さを感じられるようになりました。 あまりの寒さに、先日、ホットカーペットを出…

我が家のコーヒーの歴史

あなたへ あぁ、そっか また2つに戻ったんだね あなたと私。2人分のマグカップを並べて、不意にこんな言葉を呟いたのは、 いつも通り、夕方にコーヒーを淹れていた時間のことでした。 2つ並んだマグカップを見つめてみれば、 私が今、何を見ているのかに気…

人間の成長期

あなたへ 例えば、あなたと過ごした時間の中に、新たな視点を見つけたり、 例えば、あの子がくれた言葉から、 これまで見えていなかった自分自身に気が付いたり。 ここ最近の私は、これまでにはなかった新たな視点ばかりが見つかって、 毎日、毎日、脳内だけ…

あの子が見せてくれる景色

あなたへ 相変わらずに楽しそうなあの子の声を聞けたのは、先日のことでした。 たったの数週間、話をしないだけで、 そこに見つけるのは、あの子の著しい成長です。 私はもう、あの子の直ぐ側で、 毎日少しずつ成長する姿を見守ることは出来ませんが、 会え…

前世の恋人

あなたへ 私たちはきっと、前世では恋人だったね 何の前触れもなく突然に蘇ったこの言葉は、 あなたと出会う前の私が、友人とよく言い合っていた言葉です。 長い間、封印されていた記憶を突然に思い出したのは、 あの子が巣立ち、大掃除と奮闘していた頃のこ…

16年間に詰め込まれた課題

あなたへ え?そういうことなの? ねぇ、あなた あの頃のあの意味って、そういうこと? あの頃の私にとってはネガティブにしか思えなかった出来事に対して、 漸くその意味を理解することが出来たのは、先日のことでした。 あなたを見送ってからの私は、幾つ…

死別後9年目に見える景色

あなたへ 今の私に見える景色を眺めていました。 今、此処に見えるのは、あなたを見送ってから、 9年と、間も無く3ヶ月を迎えようとしている私に見える景色。 今の私が過ごしているのは、あなたを見送ってから、 最後の1桁の数字の1年間です。 最後の1桁。 …

最近の私が考えていたこと

あなたへ 人との出会いって、 その人がその人生の中で培ってきたものを、 学ばせてもらうことでもあるのかも知れないな。 最近の私は、こんなことを考えながら日々を過ごしていました。 私は私の人生しか生きていないから、 自分がこれまでに学び培ってきた…

数字の王様

あなたへ ねぇ、あなた。 あれはいつのことだっただろう。 まだ結婚する前の私たちの時間を思い出していました。 何気なく、2人でデジタル時計を見つめながら、 数字に関する話をしたあの日のことを、あなたは覚えていますか。 あの日の私は、 4と9はあまり…

秋の景色の中で

あなたへ こちらでは、朝晩には肌寒さを感じるようになり、 窓を開ければ、金木犀の良い香りが部屋へと届く季節になりました。 久し振りに、近所の公園へと出掛けてみると、 景色の色が変わり、足元には、 たくさんのどんぐりの実を見つけました。 秋の景色…

あなたがこの世界で過ごした最後の日

あなたへ ねぇ、あなた。 どうしてなの? あなたに問い掛け続けたこの声を、 あなたは何処かで聞いていたのでしょうか。 ねぇ、あなた。 どうしてなの?って、 何度もあなたに問い掛けたこの声を、 もしも、何処かで聞いてくれていたとしたのなら、 あなたは…

私の未来予言

あなたへ 先日の私が偶然目にしたのは、 未来予言なるオカルト的な動画でした。 それは、その日を迎えることが、 恐ろしく感じてしまうような内容のものでしたが、 ついつい見入ってしまうのは、 怖がりでありながらも、一度、怖い話が目に入れば、 最後まで…

全部が楽しかった週末

あなたへ 全部、楽しかったな 今日の私は、こんな気持ちで、 この週末の時間を振り返っていました。 あの子の枕元にハロウィンのお菓子を準備したのは、土曜日の夜のことでした。 慌ただしく出掛けて行ったあの子を見送ると、早速に、 あの子の枕元へ、 少し…

あの子との僅かなひととき

あなたへ ここ数日間の私は、 ワクワクとした気持ちいっぱいで過ごしていました。 実はね、今日、あの子が帰って来てくれました。 あなたに手を合わせたあの子のただいまの声は、 あなたのところまで届いたでしょうか。 今週末、用事が出来たからそっちに帰…

お菓子売り場で聞こえた声

あなたへ 先日、スーパーマーケットへ買い物に出掛けた時のことでした。 お菓子売り場の前を通ると、私の耳に届いたのは、 あの子と同じ名前を呼ぶ声でした。 名前を呼ばれたのは、まだ小さな男の子。 高く可愛らしい声で、 名前を呼ぶお父さんの声に返事を…

笑って生きる

あなたへ 笑った方が良いよ。 楽しくなくても、笑っていた方がいい。 笑っていれば、 やがて楽しいことが向こうからやって来て、 本当に笑えるようになるから。 これは、先日の私が偶然耳にした言葉でした。 見つけたばかりの言葉たちが、妙に鮮やかな色を放…

あの子がくれた貴重な時間

あなたへ ねぇ、あなた。 子育てとは、本当に奥が深いものですね。 あの子が生まれた日から歩んだ道のりを、 視点を変えて見つめてみれば、その分だけ、学びや新たな視点を、 どんどん与えてくれるような気がするのです。 今日の私は、あの子が生まれて初め…

あの日のあなたに惚れ直した瞬間

あなたへ もしもし?今、何してた? これから会いに行ってもいい? うん 良いけれど、もう、メイク落としちゃったよ 全然良いよ 少しだけ出ておいでよ 今から迎えに行くね これは、私の中に鮮明に蘇った、 あの日の私たちの電話でのやり取りです。 何気なく…

幸せが続く道

あなたへ ねぇ、あなた。 あの頃は良かったなって、 こんなふうに人生を振り返る言葉があるけれど、本当は、 あの頃も良かったな なのかも知れませんね。 こうして手紙を書くのも、気が付けば7年が過ぎました。 あなたへの手紙として残った私が歩んだ足跡を…

そちら側での今のあなた

あなたへ そっか 今のあなたはきっと、そちら側で、 やりたいことを見つけたんだね これは、昨夜の眠る前の私の小さな独り言です。 夢の中でのあなたの声を反芻しながら、私が思い出していたのは、 いつかの夢の中で、あなたが話してくれたことでした。 ここ…

昨夜の素敵な時間

あなたへ ねぇ、あなた。 私の我儘を聞いてくれて、ありがとう。 あなたに逢いたいと、昨夜の私はこんな手紙を送ったけれど、 私の我儘を聞いて貰えるだなんて、思ってはいなかったから、 とても驚いたけれど、とても嬉しかったよ。 昨夜は、あなたが電話を…

夢の中で逢いたい

あなたへ 最後にあなたの夢を見たのは、いつだっただろう。 夢の中で、久しくあなたとの時間を過ごせていないことに気が付いて、 寂しさを感じたのは、先日のことでした。 あなたの夢を見ていないと言うよりは、 なんの夢も見ていないと言った方が正しいのか…